いつ以来でしょうか。
舞台照明について書いてみるのは。
あえて書かずに数年過ごしていたのですが、久しぶりに気が向いたので書いてみます。
お出掛けブログじゃない回です。
完全に舞台照明と劇場管理の事を書いてますので、お出掛け話を読みに来てくれてる方はまた次回来ていただけると幸いです。
舞台照明ゆうきの現状
実は僕の現在の本業は事務職になります。
舞台とか一切関係ありません。
昔は劇場管理(属にいう小屋付き)をしていて、主に舞台操作盤と舞台照明の担当をしていました。
フリーランスでの活動も可能な雇用形態だったため、お休みの日を利用して月に1~2本ほどのフリーでの舞台照明仕事を請け負ってたりもしました。
主にクラシックバレエや朗読劇、3ピースくらいのユニットのコンサートなどです。
そんな経歴もあり、今でも時々、舞台照明に携わることがあります。
今回はそんな舞台照明ゆうきにベリーダンスショーのお仕事が舞い込み、感じた事をいたって真面目に書いてみます。
ダンス教室の仕事をするとき
ダンス系の教室の舞台照明を請け負う時、けっこう小屋付きの皆さんって苦労しているのではないでしょうか。いや、それは現場回りの会社でもそうだと思います。
打ち合わせに行くと、先生がすでに照明をこうしたいっていうオーダーを表にして持っているコトが多いと思うのですが、発表会の全てを先生が演出している教室さんなら打ち合わせもしやすいのですが、「所属している多くの先生が、担当の曲をそれぞれを演出している」時って、収集がつかないんですよね。
M1はルフィ先生が演出しているけど、M2はゾロ先生です。M3はナミ先生で…
という風になってくると、やりたい照明演出が多岐に渡ってしまい、予算的にも時間的にも膨大な数字を費やさないといけなくなったり、劇場の設備的にも無理だったり、根本的にオーダーが多くなりすぎて把握しきれなかったり。
なんせダンスの発表会は小屋付きがやる通常のピアノ発表会や日本舞踊、カラオケ発表会とは違い、曲の変化に合わせて次々と照明を変化させるわけですし、小屋付きが普段使わないチェイス(エフェクト)機能も駆使するわけじゃないですか。
そこでどうだろう。
オーダーシートを作ってしまうというのは。
仕事が決まった時点で、こちらからオーダーシートを送ってしまうの。
1曲につき特殊なオーダーは5つまでとか、サスは3か所とか、今回使える特殊効果は「目つぶし・床に模様・ミラーボールです」とか書いて送ってしまうのは。
そういったシートに書き込んでもらう中で、どうしてもやりたい追加演出は打ち合わせの上で対応していくというのは。
もちろん使用可能な特殊効果は一番トップの先生と打ち合わせの上で決めていくわけで。
でもこれは表現の自由を縛る事に繋がりかねないので、あくまで予算や時間や設備的に無理そうな場合に。っていう考えなのだけど。
もしこの記事を小屋付きの方が読んでいたらご意見を伺いたいです。
思うのはね、小屋にいる照明さんだからって「何も演出しない。うちは手を出さない」っていうのは古すぎる考えだなあってこと。古い公務員と同じだよそれ。時代遅れ。
何もしなくても良かったバブル期までの考え方なんだよねー。
いまだにバブル期の考えに溺れてる小屋の方、わりといる。
ちゃんと人件費と付帯備品の使用料をいただけるのであれば、ある程度は演出しようよ。過度になりすぎないように「オーダーシート」を使うの。
じゃないと次の世代のスタッフが入ってこないよ。楽しい職場作りを心掛けなくちゃ。
今回はコワーキングスペースで作業
さて小屋付き業界がどーのこーのと言ったものの、本業は別業界の事務。
そのため休みの日にダンスのキューシートを作成します。
自宅でやるとテレビ見たりしちゃうので、淵野辺のコノマチカフェというコワーキングスペースで作業させてもらいました。
コワーキングスペースなんて言うと、IT系の人ばかりとか、お洒落なヤツが使うんだろう?みたいな偏見があるかもしれないですが、気さくな人が運営しているコトが多く、入りやすいですよ。
それに、舞台業界以外の方と知り合えたりするのでコワーキングスペースはお勧めです。
いざ現場入り
今回の仕事は僕がチーフ、そしてピンスポには昨年もこの仕事で組んでいた20代前半のホープである、サウス(仮名)です。
二人オーダーの現場です。
サウスは僕の仕込みや照明をよく知っているコなので、仕込みはバンバン進みます。
場当たりが始まりますが、僕は気にせずシュート。もちろん迷惑かけない様に。
明かりのデータはあらかじめ、サウスにデータを打ち込んでもらってあります。
そんでもってリハーサル開始。
今回は3時間ほどの発表会です。
全てのオーダーに応えるには予算的にも仕込み時間的にも不可能だったため、ラスト1時間のインストラクターショーだけ出来うる限りのオーダーに応えています。
前半2時間は、サブマスター10本に10種の明かりを入れておき、5本に5種のチェイスを入れておき、それらのミックスで対応しました。
完全にオーダーに応えられるわけではありませんが、近い明かりは出せます。
あとはストップウォッチ見ながら、転調するタイムだけ書き込んでおいたキューシート見ながらオペレートです。
もちろんこれで不完全燃焼な先生や出演者さんもいると思います。
そんな時は、きちんと先生や出演者のいる舞台や楽屋まで行って、今回はこういう理由でオーダーには対応出来ないけど、こんな演出なら可能です!って代替え案を出します。
ただ単純に高圧的に断る照明さん多いよね。
お金を払っていただいて雇われているんだから、その辺はきちんとしないとね。
社会人なんだから。
社会のお金の流れや経済について学んでないんだろうね。
代替え案があれば、納得してくれる方がほとんど。
もちろんダメな場合もあるでしょうけど(笑)
それにしてもベリーダンスの照明やってる人って
僕は近年やたらとベリーダンスの舞台監督をやってきたから不思議に思ってこなかったんだけど、そういえばベリーの照明って誰がやってるのかな。
大きなショーだったらダンス系が得意な照明会社がやっているんだろうけども、300人から1000人くらいの劇場で、教室の発表会をやる時ってどうなんだろう。
劇場の小屋付き会社に頼むのかな。やっぱりダンス系の照明会社に頼むのかな。
今回の僕でいえば、小屋付きの会社に発注があり、そこから僕にチーフのオーダーが来たという流れなのだけど。
何件かベリーの照明をやってきた中で、よく言われるのが「ベリーダンスの照明をやってらっしゃるんですか?そういう人がなかなかいなくて。今度うちの教室もやってもらってくださいませんか?」という趣旨のもの。
どうやらライブハウスで普段はショーをしているコトが多く、今回の様に劇場でやる機会は少ないのかもしれない。
そんなワケで、今回も多くのキューを作り、なんとか無事に本番を終えました。
しばらくしたらyoutubeに抜粋がアップされる様なので客観的に見てみようかな。
今回も僕をチーフにご指名していただいたサウスさん、教室の先生方、劇場の舞台スタッフの方々、ありがとうございました。
ちょっと疲れたけれど、楽しい1日でした♪
というわけで、全く職人風な雰囲気が無いという評判の舞台照明屋ゆうきによる考察でした。
お仕事は楽しくやらなくちゃね♪