小屋付きとは…
舞台照明の職種にはいくつか種類があります。
おおざっぱに分類分けすると以下の3種類がメインでしょうか。
①ツアーや芝居周りなどを巡る「現場回り」
②市民会館などに常駐する「小屋付き」
③ホテルでブライダルなどを行う「ホテル付き」
同じ舞台照明といっても全て別の仕事です。
技術面では共通した部分がたくさんありますが、「現場回り」の人が急に「小屋付き」に転職しても、接客が最低レベルでお話にならなかったり、「小屋付き」の人が急に「現場回り」になってもスピード感や専門知識が足りなかったりします。
その中で、僕は「小屋付き90%、現場回り10%」という割り振りの職業を続けてきました。
小屋付き中でも種類がありますが、僕の経歴は・・・
「市民会館などの公共施設」80%
「ショーのムービングライト」10%
「平土間のイベントホール」10%
といったところでしょうか。
その多くを占める公共施設での小屋付き業務。
小屋付きというのはその施設に常設する舞台照明さんであったり、音響さんであったり、緞帳などを操作する操作盤担当だったりします。
僕は主に「照明」と「舞台」です。
現場回りの人々がその道を専門的に突き詰めていくのに対して、
小屋付きの人々は、その技術面もやりつつも、市役所の方との折衝や、お客様へのホールのご案内と運用方法の説明、地域の避難訓練への協力など、多岐に渡る
「市民会館の総合職」です。
↑何の関係もない(笑)
ピアノ教室やバレエ教室、吹奏楽部や合唱部の発表で市民会館や公民館などを使ったことはありませんか?
舞台袖に黒い服を着た作業員さんがいなかったでしょうか。
あれです。
昔は、とっつきにくいオジサンがやっていたものですが、今は新卒でも小屋付きになる人がいます。僕も17年前になりました。
様々な地域の催しに尽力し、会館の近くを歩いてたりすると「こんにちはー!」なんて声をかけられたりもする、地域に根差した仕事です。
僕は技術に偏ることなく、事務もしっかりとやるし、接客もちゃんとしようと心掛けながらやってきました。
小屋付きは専門職であると同時にサービス業でもあるからです。
これをわかってない時代遅れのアホな小屋付きも多いのですが。
そういった幅広い業務をしていく中で思っていたことがあります。
いつか、ホールを運営する職業に就いてみたい。
市や区、指定管理者の企業の下について小屋付き業務をやっていくのではなく、
その指定管理企業に入って、運営に携わることをしたい・・・と。
ホール事務職に転職
ついに民間でホール運営に携わる企業に転職しました。
ざっくりいうと、とあるホールに常駐して
「運営・事務」をやっていくのです。
30代後半で、技術から離れ、事務職になるというのは不安がありました。
これまで何となく事務もやってきましたが、ガッツリと本当に事務職になるというのは大変です。
よく技術職の人は事務職が簡単そうだと思っている人がいます。
しかしその大変さは別の種類です。
まず、ビジネス用語に慣れないといけません。
FAXの返信をリファックスなんて呼んだこと無いくらいですので。
事務職や営業職で当たり前に飛び交う、ミニマム、ファーストオーダー、ノーリターンン、などなどのカタカナ用語。
今まで楽屋で食べていたお弁当を用意するだけでも、様々な行程があるという事を知りました。
ただね、これが意外と楽しいんだよね。
もともと、ブログを書いてるくらいなので、PCで仕事するのは好きなんですよね。
そーいや初めてPCを触ったのは、MS-DOSとかいうのでパズルゲームを作るためにプログラミングした時でしたが、それが10歳くらいの時だったしね。
小屋付きから事務職に転職することについて
当たり前のことですが「新しい仕事をする」という事に本気でないと出来ません。
特に舞台に携わる人々は、舞台仕事を誇りに思っている部分が強すぎて、逆にそれが足かせになることがあります。
ただし「小屋付き」をやっている人は、このパターンの転職は可能だと思います。
なにしろ、市民会館の総合職ですから。
現場回りの人だと、その技術のみに没頭しているので、事務や接客が全く出来ない方が多いのですが、小屋付き経験者なら、今までの幅広い業務が必ず役に立ちます。
小屋付きからサービス業に移る人が多いのですが、その多くが成功を収めています。
なので小屋付きの人で、何かの理由でサービス業や事務職に転職を考えている人には言いたいんです。
「小屋付き」をやっている事は強みになる。
これは「現場回り」で手に入る強みとは別物です。
僕は今、事務に転じて半年といったところですが、楽しくやっております。
違う職種に就くのは迷いもあるし、不安ばかりだと思います。
けれど、小屋付きを辞めて、何か求めるものがあるのであれば、応援したいと思います。
もちろん、小屋付きはとっても立派な職業です。
ずっとその仕事をして地域に貢献していく道は尊敬します。
僕はとある理由から事務に転じましたが、何か検討している人もいると思って、こんな事を書いてみました。
↑何の関係もない(笑)
次回からお出掛けブログに戻ります☆